ノビタキ
あぜ道に真っ赤なヒガンバナが咲き乱れ、
刈られたばかりの稲わらが積み上げられた
田んぼのあちこちに、褐色の鳥が止まって
います。時折飛び立っては空中や地面で虫を
捕らえ、すぐにもとの場所へ戻ってきます。
ノビタキは、本州中部以北の草原で繁殖し、
春と秋に和歌山県を通過します。春はめった
に見られませんが、運良く出会えれば、頭部と
背中が黒く、胸にオレンジ色の斑がある夏羽
を見ることができます。
秋には、県内各地で普通に見られ、稲わら
の上に止まる姿は、地味ですが、秋の風物詩
の一つと言えるでしょう。
ある日、1羽のノビタキに気がついて付近の
田んぼを見渡してみると、1枚の田んぼに4羽
のノビタキが止まっていたこともありました。
しばらくして同じ田んぼを訪れると、ノビタキは
いつの間にかいなくなっていました。さらに南方
へ旅立っていったのです。
高原で見る鮮やかな夏羽の華やかさはありま
せんが、稲わらの上のノビタキは、やはり地味な
姿が似つかわしく思います。